現在では、ターゲティングはAI主導の運用に置き換わり、広告成果はAIのパフォーマンスを引き出す「素材」としてのクリエイティブに左右されるようになっています。今後は、クリエイティブだけでなく戦略そのものもAIに代替されるため、AIのパフォーマンスを引き出すためのデータ整備やAIとの適切なコミュニケーションが広告運用の中心的な役割を担うようになると思われます。
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2018年以前は、Google広告やMeta広告(当時はFacebook広告)におけるAI(機械学習)の精度が十分ではなかったため、ターゲティングもクリエイティブも手動で細かく調整する運用が主流でした。当時は、Web広告の運用や広告管理画面の操作は広告運用代行業者のような専門家(ターゲティング職人)に依頼することが多かった印象があります。
当時のGoogle広告では、人が手動でキーワードや入札単価を調整する運用スタイルが一般的でした。キーワード単位で細かく広告グループを構成し、マッチタイプ(完全一致・フレーズ一致・部分一致)ごとにキャンペーンを分割することで、配信の精度と制御性を高めていました。入札戦略についても「手動CPC入札」が主流で、広告運用者が自身の判断で単価調整を行い、成果をコントロールしていました。
コンバージョン実績のあるキーワード(Alpha)と、検証中のキーワード(Beta)を分けて、別々のキャンペーンまたは広告グループで管理する手法です。Alphaでは積極的に入札強化を行い、Betaでは新しいキーワードを試して有望なものをAlphaに昇格させます。リードの質やCPAを調整しやすく、効率とスケーラビリティを両立できる構造として定着していました。
1つの広告グループに1キーワードのみを設定する構造。キーワードと広告文の関連性を最大化することで、品質スコアやクリック率(CTR)を高め、掲載順位やCPCの効率化を図る手法です。
年齢・性別・地域・興味・行動などを詳細に組み合わせて、「どの層に刺さるか」を手動で検証。1キャンペーン内に多数の広告セットを作成し、ABテストを繰り返して最適化を図るのが基本でした。当時は個人情報に関する規制も現在ほど厳しくなかったため、会社名や役職などを指定した詳細ターゲティングも可能でした。
1つの商品・サービスに対しても、価格訴求・安心訴求・実績訴求など複数のクリエイティブを制作し、それぞれのターゲットに対して適切な組み合わせを検証する必要がありました。
サイト訪問者やリード獲得済みユーザーに対するリターゲティング広告が主な成果源でした。また、「メールアドレスリスト」や「アプリ利用者」などのデータを元に作成したカスタムオーディエンスも、当時は有効な戦力でした。
BtoBのWeb広告は、広告設計や運用手法がBtoCとは大きく異なります。BtoBに特化したWebマーケターとして、Web広告の運用代行を行っております。お気軽にご相談ください。
2018年ごろからGoogle広告もMeta広告(当時はFacebook広告)もAI(機械学習)の性能が徐々に進化し、ターゲティングの自動化が進みました。その結果、従来のようにターゲティング設定によって成果を差別化することが難しくなり、バナーやLPなどのクリエイティブを最適化する技術が成果を左右する主要な要素となりました。この流れにより、広告運用を広告代行会社から自社運用に切り替える企業も増えてきました。
2018年以降、Google広告は機械学習を活用した自動最適化が徐々に進化します。この変化に伴い、従来のように細かくキーワードや広告グループを分けて調整する構造から、データを集約して機械学習を活かすための構造の整理が重視されるようになりました。ただ、検索広告はSNSのように詳細な属性データを保有しておらず、意図ベースの検索に依存する構造であるため、自動化の恩恵は限定的でした。
Googleが推奨する日本発のアカウント構造で、広告グループやキーワードを集約し、学習データを集中させることで自動最適化の効果を最大化する設計です。自動入札や動的検索広告と特に相性がよく、管理工数の省力化と成果の両立が可能になります。
一部の代理店や実務者が提唱する構造で、「ブランドキーワード」「汎用キーワード」「リマーケティング」「ディスプレイ」「動画」など役割ごとにキャンペーンを分けて設計します。目的ごとの評価と改善がしやすく、フルファネル施策に適しています。
Hagakureの進化系として派生したもので、複数のチャネル(検索、動画、ディスプレイ等)やキャンペーンの自動連携・一元管理を前提とした大規模アカウント向けの構造です。機械学習とデータ連携を最大限に活用し、パフォーマンスを最適化します。
Meta広告ではAIによる最適化が急速に進化し、人がターゲティングを細かく制御する運用から、AIに任せて広告の方向性とクリエイティブを整える運用へと大きく転換しました。
詳細ターゲティングの設定は最小限に抑え、「年齢・地域・興味関心・業種」などを広めに設定し、アドバンテージ+自動拡張(旧:自動配置、自動拡張機能)を活用して、Metaのシグナルベースの最適化に任せる方が成果が出やすくなってきました。
動画、静止画、カルーセルなど多様な形式を用意し、レスポンシブ配信に対応することで、AIが最適なクリエイティブを自動で選定・出し分けできる環境を整えることが重要になりました。バナーやLPの訴求軸も複数パターンを用意し、AIがどの訴求が効果的かを学習・最適化できるように設計します。
予算配分は広告セット単位ではなく、キャンペーン単位で管理するCBO(Campaign Budget Optimization:キャンペーン予算最適化)が基本となりました。AIが各広告セットへの配信量を自動で最適化するため、構造はなるべく統合・簡素化することが望まれます。
AIによる自動入札の精度が大幅に向上し、広告の目的に応じて配信ロジックを大きく切り替え、最適な成果を目指すようになりました。広告の目的を「認知」にした場合は、CPMが非常に安く、インプレッション重視で広く配信されます。一方、目的を「リード」に設定した場合は、CPMが高くなることもありますが、コンバージョンしやすいユーザーに絞って配信されるため、結果としてCPAが抑えられる傾向があります。
インスタントフォームは、CVまでの導線が短いためリード数を多く獲得しやすい反面、リードの質にはばらつきが出やすい傾向があります。一方、LPに誘導してからCVさせる構成では、ユーザーが商材をより深く理解した上でCVするため、質の高いリードが得られやすく、商談化にもつながりやすくなります。そのため、商材やマーケティングの目的に応じて、インスタントフォームと外部LPを適切に使い分けることが重要です。
現在では、クリエイティブの生成やLP設計だけでなく、戦略レベルの設計や判断においてもAIの提案精度は非常に高くなっています。いずれ「クリエイティブ職人」も不要になります が、現時点ではまだその過渡期にあります。
広告キャンペーンや広告グループをターゲット別に分け、キーワードは部分一致で入札。各ターゲットに最適化された広告文とLPを準備することで、AIの学習が進み、最適化効果が高まります。この運用によって、実際に従来の運用の2倍以上の成果を発揮することもあります。
検索、ディスプレイ、YouTube、Gmailなど複数の配信面にまたがって自動配信される統合型キャンペーン。アセット(見出し・画像・動画など)を登録するだけで、AIが組み合わせと配信先を自動最適化します。筆者自身は主に小規模なBtoB案件を扱うため利用経験は限定的ですが、BtoC向けや動画が有効な商材、高予算での運用には効果が期待されます。ただし、アセットごとの効果測定やクリエイティブ管理を行い、人が戦略的にコントロールする視点は不可欠です。
バナー・動画・カルーセルなど多様なクリエイティブを用意してAIに渡すことで、最適化の精度が上がります。仮に同じクリエイティブを使用する場合でも、広告セットごとにターゲットを分けることで、人が意図的にコントロール可能な構成を保つことが重要です。また、コンバージョン導線は商材に応じて「インスタントフォーム」と「外部LP」を使い分けるのが効果的です。
とはいえ、それが実現するのはもう少し先の話です。なぜなら、広告プラットフォームのAIが目指しているのはあくまで「プラットフォーム全体の最適化」であり、「自社の最適化」を実現するには、広告プラットフォームのAIに任せるだけでは不十分なためです。
BtoBのWeb広告で継続的に成果を出すためには、まずリードから成約まで一貫したKPI管理を整備した上で、マーケティングと営業が連携できる体制を構築することが重要です。さらに、BtoCとは異なり、BtoBではユーザーの行動が全く異なるため、広告クリエイティブやLP、コンバージョンポイントに至るまで、自社のビジネスに合わせた設計思想が求められます。BtoBの広告運用についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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