Web広告のイメージ
Q

AI時代のWeb広告運用はどう変わるか?今どうなっているか?これからどうなるか?

A

ターゲティング職人→クリエイティブ職人→データ職人

現在では、ターゲティングはAI主導の運用に置き換わり、広告成果はAIのパフォーマンスを引き出す「素材」としてのクリエイティブに左右されるようになっています。今後は、クリエイティブだけでなく戦略そのものもAIに代替されるため、AIのパフォーマンスを引き出すためのデータ整備やAIとの適切なコミュニケーションが広告運用の中心的な役割を担うようになると思われます。

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手動運用が中心だった“ターゲティング職人”時代

2018年以前は、Google広告やMeta広告(当時はFacebook広告)におけるAI(機械学習)の精度が十分ではなかったため、ターゲティングもクリエイティブも手動で細かく調整する運用が主流でした。当時は、Web広告の運用や広告管理画面の操作は広告運用代行業者のような専門家(ターゲティング職人)に依頼することが多かった印象があります。

AI黎明期のGoogle広告運用

当時のGoogle広告では、人が手動でキーワードや入札単価を調整する運用スタイルが一般的でした。キーワード単位で細かく広告グループを構成し、マッチタイプ(完全一致・フレーズ一致・部分一致)ごとにキャンペーンを分割することで、配信の精度と制御性を高めていました。入札戦略についても「手動CPC入札」が主流で、広告運用者が自身の判断で単価調整を行い、成果をコントロールしていました。

Alpha/Beta構造(2010年〜2018年頃)

コンバージョン実績のあるキーワード(Alpha)と、検証中のキーワード(Beta)を分けて、別々のキャンペーンまたは広告グループで管理する手法です。Alphaでは積極的に入札強化を行い、Betaでは新しいキーワードを試して有望なものをAlphaに昇格させます。リードの質やCPAを調整しやすく、効率とスケーラビリティを両立できる構造として定着していました。

SKAG(Single Keyword Ad Group)(2012年〜2018年頃)

1つの広告グループに1キーワードのみを設定する構造。キーワードと広告文の関連性を最大化することで、品質スコアやクリック率(CTR)を高め、掲載順位やCPCの効率化を図る手法です。

RLSA特化構造(2014年〜2020年頃)

検索広告にリマーケティングリストを掛け合わせる「RLSA(Remarketing Lists for Search Ads)」を活用し、過去にサイト訪問したユーザーだけに広告を表示。特定メッセージや入札調整によって、より成約確度の高いユーザーに絞った配信が可能でした。

AI黎明期のMeta広告運用(Facebook広告)

2018年以前のMeta広告では、現在のようにAI任せで配信されるのではなく、運用者自身が細かくターゲティングとクリエイティブを設計する必要がありました。

細かいターゲティングが重要

年齢・性別・地域・興味・行動などを詳細に組み合わせて、「どの層に刺さるか」を手動で検証。1キャンペーン内に多数の広告セットを作成し、ABテストを繰り返して最適化を図るのが基本でした。当時は個人情報に関する規制も現在ほど厳しくなかったため、会社名や役職などを指定した詳細ターゲティングも可能でした。

クリエイティブも訴求軸ごとに細分化

1つの商品・サービスに対しても、価格訴求・安心訴求・実績訴求など複数のクリエイティブを制作し、それぞれのターゲットに対して適切な組み合わせを検証する必要がありました。

リターゲティングとカスタムオーディエンスが主力

サイト訪問者やリード獲得済みユーザーに対するリターゲティング広告が主な成果源でした。また、「メールアドレスリスト」や「アプリ利用者」などのデータを元に作成したカスタムオーディエンスも、当時は有効な戦力でした。

ポートフォリオ

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ターゲティングはAIに置き換わり、
クリエイティブが成果を左右する
“クリエイティブ職人”時代(2018年頃〜現在)

2018年ごろからGoogle広告もMeta広告(当時はFacebook広告)もAI(機械学習)の性能が徐々に進化し、ターゲティングの自動化が進みました。その結果、従来のようにターゲティング設定によって成果を差別化することが難しくなり、バナーやLPなどのクリエイティブを最適化する技術が成果を左右する主要な要素となりました。この流れにより、広告運用を広告代行会社から自社運用に切り替える企業も増えてきました。

AI成長期のGoogle広告運用

2018年以降、Google広告は機械学習を活用した自動最適化が徐々に進化します。この変化に伴い、従来のように細かくキーワードや広告グループを分けて調整する構造から、データを集約して機械学習を活かすための構造の整理が重視されるようになりました。ただ、検索広告はSNSのように詳細な属性データを保有しておらず、意図ベースの検索に依存する構造であるため、自動化の恩恵は限定的でした。

Hagakure(葉隠れ)構造(2018年頃〜)

Googleが推奨する日本発のアカウント構造で、広告グループやキーワードを集約し、学習データを集中させることで自動最適化の効果を最大化する設計です。自動入札や動的検索広告と特に相性がよく、管理工数の省力化と成果の両立が可能になります。

GORIN(五輪)構造(2019年頃〜)

一部の代理店や実務者が提唱する構造で、「ブランドキーワード」「汎用キーワード」「リマーケティング」「ディスプレイ」「動画」など役割ごとにキャンペーンを分けて設計します。目的ごとの評価と改善がしやすく、フルファネル施策に適しています。

MUGEN(無限)構造(2021年頃〜)

Hagakureの進化系として派生したもので、複数のチャネル(検索、動画、ディスプレイ等)やキャンペーンの自動連携・一元管理を前提とした大規模アカウント向けの構造です。機械学習とデータ連携を最大限に活用し、パフォーマンスを最適化します。

AI成長期のMeta広告運用

Meta広告ではAIによる最適化が急速に進化し、人がターゲティングを細かく制御する運用から、AIに任せて広告の方向性とクリエイティブを整える運用へと大きく転換しました。

ターゲティングはAIに任せる運用に

詳細ターゲティングの設定は最小限に抑え、「年齢・地域・興味関心・業種」などを広めに設定し、アドバンテージ+自動拡張(旧:自動配置、自動拡張機能)を活用して、Metaのシグナルベースの最適化に任せる方が成果が出やすくなってきました。

手動制御の中心はクリエイティブに

動画、静止画、カルーセルなど多様な形式を用意し、レスポンシブ配信に対応することで、AIが最適なクリエイティブを自動で選定・出し分けできる環境を整えることが重要になりました。バナーやLPの訴求軸も複数パターンを用意し、AIがどの訴求が効果的かを学習・最適化できるように設計します。

キャンペーン設計のシンプル化(CBOの標準化)

予算配分は広告セット単位ではなく、キャンペーン単位で管理するCBO(Campaign Budget Optimization:キャンペーン予算最適化)が基本となりました。AIが各広告セットへの配信量を自動で最適化するため、構造はなるべく統合・簡素化することが望まれます。

自動入札と成果最適化の進化

AIによる自動入札の精度が大幅に向上し、広告の目的に応じて配信ロジックを大きく切り替え、最適な成果を目指すようになりました。広告の目的を「認知」にした場合は、CPMが非常に安く、インプレッション重視で広く配信されます。一方、目的を「リード」に設定した場合は、CPMが高くなることもありますが、コンバージョンしやすいユーザーに絞って配信されるため、結果としてCPAが抑えられる傾向があります。

インスタントフォームと外部LPの使い分け

インスタントフォームは、CVまでの導線が短いためリード数を多く獲得しやすい反面、リードの質にはばらつきが出やすい傾向があります。一方、LPに誘導してからCVさせる構成では、ユーザーが商材をより深く理解した上でCVするため、質の高いリードが得られやすく、商談化にもつながりやすくなります。そのため、商材やマーケティングの目的に応じて、インスタントフォームと外部LPを適切に使い分けることが重要です。

クリエイティブも戦略もAIが担う時代へ。
AIの力を引き出すデータ運用が主流になる
“データ職人”時代(現在〜今後)

広告プラットフォームにおけるAIの進化により、現在ではターゲティングの大部分とクリエイティブの選定が自動化され、AI主導の運用が主流となっています。その中で成果を最大化するためには、AIのパフォーマンスを引き出す「素材」と「データ」を提供することが重要となります。
ただし、広告プラットフォームのAIはあくまで「プラットフォーム全体の最適化」を目的としており、自社の成果を最大化させるためには人がコントロールする余地を残しておく必要もあります。

現在では、クリエイティブの生成やLP設計だけでなく、戦略レベルの設計や判断においてもAIの提案精度は非常に高くなっています。いずれ「クリエイティブ職人」も不要になります が、現時点ではまだその過渡期にあります。

最新のGoogle広告運用

ターゲティング別 × ターゲティング別LP構成

広告キャンペーンや広告グループをターゲット別に分け、キーワードは部分一致で入札。各ターゲットに最適化された広告文とLPを準備することで、AIの学習が進み、最適化効果が高まります。この運用によって、実際に従来の運用の2倍以上の成果を発揮することもあります。

P-MAX(パフォーマンス最大化)キャンペーンの活用

検索、ディスプレイ、YouTube、Gmailなど複数の配信面にまたがって自動配信される統合型キャンペーン。アセット(見出し・画像・動画など)を登録するだけで、AIが組み合わせと配信先を自動最適化します。筆者自身は主に小規模なBtoB案件を扱うため利用経験は限定的ですが、BtoC向けや動画が有効な商材、高予算での運用には効果が期待されます。ただし、アセットごとの効果測定やクリエイティブ管理を行い、人が戦略的にコントロールする視点は不可欠です。

最新のMeta広告運用

クリエイティブ駆動型構成

バナー・動画・カルーセルなど多様なクリエイティブを用意してAIに渡すことで、最適化の精度が上がります。仮に同じクリエイティブを使用する場合でも、広告セットごとにターゲットを分けることで、人が意図的にコントロール可能な構成を保つことが重要です。また、コンバージョン導線は商材に応じて「インスタントフォーム」と「外部LP」を使い分けるのが効果的です。

これからのWeb広告運用

AIの進化にともなって広告運用のスタイルや求められる技術も変化してきました。今後さらにAIが進化すれば、従来のような職人的な広告運用スキルは不要となり、AIと事業者が協働して広告を最適化する時代が訪れる可能性があります。

とはいえ、それが実現するのはもう少し先の話です。なぜなら、広告プラットフォームのAIが目指しているのはあくまで「プラットフォーム全体の最適化」であり、「自社の最適化」を実現するには、広告プラットフォームのAIに任せるだけでは不十分なためです。

そこで必要になるのは、「自社の最適化」を目的としたAIの活用です。更に、AIにも得意分野があります。画像生成が得意なAI、LP設計が得意なAI、データ分析と戦略設計が得意なAIなど、それぞれの特性に合わせた複数のAIを連携させてWeb広告を運用する必要があります。そのため、データ設計や整備、AIとの適切なコミュニケーションに精通したスペシャリストが、広告成果を大きく左右するようになると考えます。

Web広告をご検討中の方へ​

BtoBのWeb広告で継続的に成果を出すためには、まずリードから成約まで一貫したKPI管理を整備した上で、マーケティングと営業が連携できる体制を構築することが重要です。さらに、BtoCとは異なり、BtoBではユーザーの行動が全く異なるため、広告クリエイティブやLP、コンバージョンポイントに至るまで、自社のビジネスに合わせた設計思想が求められます。BtoBの広告運用についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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